■鬼の研究 馬場あき子 ちくま文庫 1988/12 かつて都大路を百鬼夜行し、一つ目、天狗、こぶ取りの鬼族が世間狭しと跳梁し、また鬼とならざるを 得なかった女たちがいた。鬼は滅んだのだろうか。いまも、この複雑怪奇な社会機構と人間関係の中から、 鬼哭の声が聞こえはしないか。日本の歴史の暗部に生滅した〈オニ〉の情念とエネルギーを、芸能、文学、 歴史を捗猟しつつ、独自の視点からとらえなおし、あらためてその哲学を問う名篇。 【目次】 序章 鬼とは何か 1章 鬼の誕生 2章 鬼を見た人びとの証言 3章 王朝の暗黒部に生きた鬼 4章 天狗への憧れと期待 5章 極限を生きた中世の鬼 終章 鬼は滅びたか―あとがきにかえて ■中国妖怪人物事典 実吉達郎 講談社 1996/7 中国古典の中の妖怪や仙人、怪奇伝説が伝わっている人物・神仏1430人を収録した人物事典。 妖怪人物のほか、妖怪や仙人が登場する小説や怪奇現象も独立項目とする。排列は五十音順で、 見出し項目の下に出典名を記す。73点の図版も掲載。巻末に、見出し項目と、項目に関わりのある妖怪・ 仙人およびその別名、怪奇伝説が伝わっている人物・神仏およびその別名などの索引がある。 【目次】 アツユ―本来は天界の神々の一人。 委蛇―上古の世に九疑山にいたという二つ頭のヘビ。 言成地蔵―地蔵霊験譚の一つ。 縊鬼―首をくくって死んだ者の鬼(ゆうれい)。 イキ―スッポンに似た三本足の水生怪物。 異犬・怪犬―超自然的なイヌたち。 一行上人―唐の玄宗皇帝時代の僧。 尹軌―天文等に通じた学者で、のち仙人になった人物。 陰門陣―明や清の時代におこなわれた珍戦術。 ■中国怪奇小説集 岡本綺堂 光文社文庫 1994/4 士族の家に生まれた綺堂が幼少のころに住んでいた旗本屋敷は、有名な幽霊屋敷だった。 この世に怨みをもって出る日本の幽霊とは異なり、中国の幽霊は一見なんの縁もないところにあらわれる。 そこが怖い。中国の怪奇譚に造詣が深い綺堂が、六朝から清に至る各時代の中から二百二十種を抄出して名訳。妖気ただよう幻想の世界へ読者を誘う、中国怪奇傑作集。 【目次】 捜神記(六朝)、捜神後記(六朝)、酉陽雑爼(唐)、宣室志(唐)、白猿伝・其他(唐)、
録異記(五代)、稽神録(宋)、夷堅志(宋)、異聞総録・其他(宋)、続夷堅志・其他(金・元)、
輟耕録(明)、剪灯新話(明)、池北偶談(清)、子不語(清)、閲微草堂筆記(清)を収録。
鬼の研究
■図説 日本呪術全書 豊島泰国 原書房 1998/09 秘められた闇の力の系譜に鋭く迫る希少図版280点余。日本史の闇を貫く呪術の数々。 人々の願いや想い、そして怨念までもがうごめく「裏精神世界」をあぶり出し、日本が生んだ奇想の 体系に迫る。祈祷法、修法から聖地まで、図版180点余を駆使して徹底解説。 【目次】 第1章 密教系の呪術 第2章 修験道系の呪術 第3章 陰陽道系の呪術 第4章 日蓮宗系の呪術 第5章 神道・古神道系の呪術 第6章 浄土宗系の呪術 第7章 禅宗系の呪術 第8章 教派神道系の呪術
■図説 憑物呪法全書 豊嶋泰国 原書房 2002/6 狐憑き、犬神…。超自然的な霊力を駆使するもうひとつの呪術の体系、憑き物をめぐる呪法の全貌に迫る。 跳梁する悪霊、それを祓う呪法、禁断の領域へ誘う書。 【目次】 第1章 狐 第2章 管狐 第3章 オーサキ 第4章 犬神 第5章 蛇 第6章 狸 第7章 猫 第8章 その他
■憑霊信仰論―妖怪研究への試み 小松和彦 講談社学術文庫 1994/3 「憑く」という語の本来の意味は、事物としてのものにもともと内在する精霊や、異界の神霊などが、 別の事物としてのものに乗り移ることを意味していた。本書は、こうした憑依現象を手懸りにして、狐憑き、 犬神憑き、山姥、式神、護法、付喪神など、人間のもつ邪悪な精神領域へと踏み込み、憑依という宗教現象 の概念と行為の体系を介して、日本人の闇の歴史の中にうごめく情念の世界を明らかにした好著。 【目次】 1 「憑きもの」と民俗社会―聖痕としての家筋と富の移動 2 説明体系としての「憑きもの」―病気・家の盛衰・民間宗教者 3 〈呪咀〉あるいは妖術と邪術―「いざなぎ流」の因縁調伏・生霊憑き・犬神憑き 4 式神と呪い―いざなぎ流陰陽道と古代陰陽道 5 護法信仰論覚書―治療儀礼における「物怪」と「護法」 6 山姥をめぐって―新しい妖怪論に向けて 7 熊野の本地―呪咀の構造的意味 8 器物の妖怪―付喪神をめぐって 9 収録論文解題
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